京都府高の見解・声明
公立高校制度と入学者選抜にかかわる公開質問状
京都府教育委員会
委員長 藤田 晢也 様
教育長 田原 博明 様
2006年9月13日
京都府立高等学校教職員組合
執行委員長 寺内 寿
京都の教育をすすめるにあたって、貴委員会の日頃の努力に敬意を表します。
さて、8月26日に新聞発表された2007年度の公立高校入学者選抜要項と募集定員に対して、私どもは別紙のような「見解と要求」を明らかにしました。高校入試は子どもたちの未来にとって極めて重要であり、憲法・教育基本法の精神に則って、希望するすべての子どもたちに高校教育の機会を等しく保障することは、私たちおとなの重要な責務であることは言うまでもありません。
こうした観点から、私たちは京都府の公立高校制度と高校入試に深い憂慮を抱き、貴委員会にも様々な要望や提案をしてきました。しかし、ここに至って、高校制度・高校入試のゆがみは、もはや一刻も猶予できない事態となっています。このゆがみを少しでも改善していくため、ここに貴委員会への質問状を提出します。誠実に回答していただくようお願いいたします。また、この問題は府民の関心が高い問題であることから、質問状を公開し広く府民のみなさんに知っていただくことにしました。なお、回答は、9月末を目途にお願いします。
記
1 山城高校で起こった事象についてお聞きします。山城高校の校長は、教職員の質問に対して「教育委員会の了解を得ている」と回答し、「全く問題はない」「これからも同様の申し入れがあれば喜んで受ける」という姿勢を表明しています。「教育委員会の了解云々」は事実ですか。この種の説明会に公立高校の施設を使用するのはあるのですか。「特定の進学塾に便宜を図る」と受け取られる可能性がありませんか。事実経過と貴委員会の考えをお聞かせください。
2 山城高校の事象について、校長の責任をどのように考えますか。学校現場の話によると、校長は新聞折り込みが行われた時期より前に職員会議の場で説明会のチラシを教職員に配布し、周知を図っています。また、教職員の質問に対して「学校との共催である」と回答しています。これは塾が勝手にやったといえるものではなく、校長も積極的に推進したと見ざるを得ません。公立学校の施設を使って、府民に疑念を抱かせるような「説明会」を開催(共催)することは、公教育の信頼にかかわることでもあり、学校の責任者としての資質が問われる問題と考えます。貴委員会の見解をお聞かせください。
3 なぜ桃山高校定時制普通科の募集定員をへらしたのですか。桃山定時制普通科は、1997年以降一貫して志願者が募集定員を超え、1次入試で定員が一杯になっています。このまま募集定員を削減すれば、桃山定時制を志願する子どもたちはもちろんのこと、その他の地域にも大きな影響を及ぼすことも考えられます。遠くの学校に通わなければならない生徒が増え、定時制への進学を希望する子どもたちの権利を奪うことになりかねません。どうお考えですか。またこの間、貴委員会は夜間定時制の縮小をすすめてきましたが、夜間定時制の将来構想をどうお考えですか。
4 貴委員会は、「特色ある学校づくり」として、専門学科や新しい教育システムの導入を積極的に推進してきました。その結果、広い通学区域から志願者を集める「特色学科」などが増加し、通学圏内の地元の子どもたちが通う普通科を削減してきました。こうした方策をとることが、「見解と要求」で述べたように、学力や経済面で困難を持つ子どもたちの高校教育を受ける機会を狭め、社会的格差の拡大につながることが心配されます。これについてどうお考えですか。今後も「特色学科」づくりを続けていくつもりですか。将来構想を教えてください。
5 山城地域の統廃合計画に続いて、京都市地域や北部での統廃合計画の動きが陰に陽に聞こえてきます。中学生を持つ保護者の中では不安の声も聞かれます。山城地域以外での再編計画をどのようにすすめていくのか、お考えを聞かせてください。
6 現在、一部の専門学科で適性検査が実施されています。適性検査合格が推薦・一般選抜とも必須条件となり、「青田買いにつながる特権≠ナはないか」との批判が聞かれる制度ですが、適性検査はなぜ必要なのですか。適性検査実施を承認する基準は何ですか。入学者選抜要項には「適性検査実施に関する要項は、当該高等学校を所管する教育委員会の承認を受けて、当該高等学校長が定める」とありますが、適性検査の内容について、貴委員会はどのような承認基準を持っておられますか。
7 京都府の公立高校の入試制度は、「入試の多様化・多元化」の考えのもとで、非常に複雑な制度になっています。また、毎年制度が複雑に変更され、年々わかりにくくなっています。抜本的に改善していく考えはお持ちではありませんか。
8 2006年度入試から導入した「長期欠席者特別入学者選抜」について、学校現場からは「なぜ3校だけなのか」「希望者はもっといる。もっと多くの高校で受け入れたら、たくさんの子を救える」という声が寄せられています。父母の意見も同様だと思いますが、貴委員会はどうお考えですか。
9 京都市域の通学圏では、同一通学圏内の府立高校に9学級規模の高校と5学級規模の高校が配置されていますが、なぜこうしたアンバランスな配置をするのですか。何を基準にそれぞれの学校の規模(募集定員)を決めているのですか。小規模校、大規模校ともに教育条件面で困難を抱えています。学校規模の不均衡を適正化する考えはお持ちではありませんか。
10 最近、専門学科や総合学科などは1学級の規模を40人以下に抑える傾向が強まっていますが、普通科は総合選択制も含めて40人のままで据え置かれています。学力の幅が大きく、進路希望も様々な生徒がいる普通科では、できるだけ少人数できめ細かな指導が求められますが、普通科の教育条件が不利となっています。これはなぜですか。普通科から教育条件整備をすすめていくべきだと考えますが、いかがですか。
11 定時制は夜間・昼間とも、中学校で不登校であったり、困難な課題を抱えた生徒が多く学んでいます。いっそうきめ細かな指導ができるよう、教育条件整備が求められています。学校現場からは「学級定員を20人程度に抑えるべき」「手厚い教職員配置を」の強い要望が寄せられています。「柔軟な教育システムに係る懇談会」でも、不登校の子どもたちの教育をどう充実させていくか、熱心な検討が図られていると伺っています。定時制の教育条件整備のために、どういう方策をとられるのか、お聞かせください。
12 新学科の設置や単位制など教育システムの変更は、多くの場合、大多数の教職員が知らないまま、管理職と貴委員会の間でレールが敷かれていると聞いています。こうした変更はどういった経過で発案・決定されるのですか。学科の改編やシステムの変更は学校の自主的な検討・研究を尊重すべきですが、貴委員会の姿勢をお聞かせください。
13 京都府は「開かれた府政」を掲げ、府政への府民の幅広い参加を推進しておられます。府政への参画は、どの府民にも平等に保障されるべきものであり、その信条や立場の違いで差別があってはならないことは言うまでもありません。そうしたことを土台に、高校入試に関する開かれた検討機関を設置する考えはお持ちではありませんか。また他府県では、教職員組合の代表を検討委員に加え、現場教職員の意見を吸い上げようという姿勢を持つ教育委員会が増えてきました。私たちも検討機関に加わり、建設的な提案を行う用意があります。貴委員会はこうした点をどうお考えですか。
以上
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